一名薬師温泉・駅前薬師温泉。駅前町一三-一四(元別府村-別府町)にある。いまは駅前高等温泉と駅前温泉(なみゆ)とからなる。 古くからあった浴場で、いまの建て物は、大正十三年(一九二四)に二百余円を投じて建てられたという。 何しろ鉄筋コンクリート造り二階建てであったため地域有志の大きな苦労があった。 浴場ができて三年目。昭和二年(一九二七)には、所有権を市に移管し、経営は北町がおこなうことになった。 昭和六年(一九三一)『温泉の別府案内』には、薬師温泉、別府駅の東方一丁、駅前通に在る区営の浴場なり。浴舎は、瀟洒たる洋風二階建にして階下は男女湯に充て各々湯及び上等湯を設く。上等湯は有料にて湯瀧、蒸湯の外に泉浴あり。階上には食堂及び露台の設けあり。 泉質は炭酸性単純泉にして無色透明なり。貧血、病後の衰弱に特効あり。と記されており、昭和十年(一九三五)の『市勢要覧』には、薬師温泉、別府巾北町上駅前、炭般性、単純泉無色透明、主冶効能関節リュウマチス、麻痺性疾患。と話されている。 戦後の建て物管理については、昭和五十七年(一九八二)約七〇〇万円かけて屋根の大修理をおこない、さらに昭和五十八年(一九八三)十一月には、約七〇〇万円余、を投じて大改築をおこない岩風呂やあわ風呂の施設を充実させた。 ついで、昭和五十九年(一九八四)七月には広場全面を茶色のカラータイル張りの明かるい環境とし、正面には紫雲石を素材とした高さ一・三メートルの噴水式温泉飲み場を設置するために工事に着手して、同年八月十日には工事が完成した。(五十九・八・十四大分合同新聞) 浴場については、駅前温泉(並湯)は男女各一泓で計二泓。駅前高等温泉は、男女各二泓で計四泓であり、両者あわせて六泓からなる大浴場である。 なお、駅前高等温泉には、個室二、○○○円の宿泊施設と超音波気泡風呂とがある。 経営は、高等温泉・駅前温泉ともに駅前町がおこない、管理人は二人宛三交替、週休の交替者一名の計七名で直接運営に参加している。 入浴料は、一人一回一〇〇円、町内の者は一ケ月四〇〇円、別府在住の人は三〇枚券が一五〇〇円となっている。 高等温泉には、個室二、○○○円、広問一〇〇〇円(昭和五十九年)の宿泊設備がある。これは当温泉の特色であると言えよう(伊達太助氏の教示による)。